歯科技工士 インタビュー

吉川 葵さん

子供との時間も
仕事も大切にできる働き方
めざすは、女性が憧れる
職人的な技工士
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Q1.吉川さんの働き方・働く環境を教えてください。
A.自分の強みを活かし働く子育てと両立しやすい職場環境
私は、宮城県内をはじめ全国多数の歯科医院の依頼を受けるラボに勤務しています。
弊社はCADCAM冠など保険適用の技工や、各種自費技工にも対応しておりますが、私はジルコニアオールセラミックスという自費技工を主に担当しているので、実際に立ち合いで歯科医院へ伺って患者さまの口腔内写真を撮らせて頂いたり、技工物の装着具合を確認させて頂いて直接ご要望をお伺いすることもあります。一方で、弊社では保険適用の技工のみ、デザインや模型のみなど得意な分野を担当するなど、自分の強みを活かして働くこともできます。また、基本はフルタイム勤務ですが、子供の体調や習い事に合わせて半休をとれる制度もあります。仕事も、子ども達との時間も、どちらも大切にできるのは働きやすい職場と、家族や周りのサポートがあるおかげ。もっと勉強したいという意欲もありますが、そこはバランスを考えつつ、成功体験も失敗体験も自分らしさと認めて、どちらも良いストレスとして捉えて働いています。 -
Q2.歯科技工士の魅力を教えてください。
A.日々進化しているからこそ、出産後も復職しやすい
専門学校卒業後、関東の歯科技工所(企業ラボ)で約5年勤め、妊娠出産の際に休職。その後、地元宮城県に戻って復職しました。子育て時期には約4年のブランクがありましたが、一度身に付けた技術は忘れないもの。昨今はアナログからデジタルに移行し、常に新しい勉強が必要だからこそ資格があれば復職しやすいと感じています。また、歯科医院の先生から信頼いただけたり、患者さまが喜んでくれたり、やりがいを実感できる場面も多いです。今はまだ技術も経験も足りないのですが、挑戦する勇気を大事にして、将来的には女性技工士が憧れる職人的な存在になりたいです。
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Q3.歯科技工士をめざす高校生へメッセージをお願いします。
A.ライフステージに合わせて自分らしい働き方も選択できる。
自分を平凡な人だと感じていたからこそ現状に満足せず粘り強く進んできました。歯科技工士は歯科医院の先生や患者様との関わりも多いため、技術や知識だけでなくコミュニケーション力と人間力が大切です。何より必要なのは「元気とやる気」。ライフステージに合わせて自分らしい働き方も選択できる資格なので、興味が少しでもあれば挑戦してみてください。
吉川 葵さんのプロフィール

WORVELL 仙臺 Dental Labolatory勤務
宮城県の歯科技工士養成学校を卒業。歯科技工士歴は約12年。
高校の近くに専門学校があり、友人の姉が通っていたことで「歯科技工士」という資格を知り、「手に職」という点に惹かれて入学。2年間の本科専門課程を修了後、高度な技術を修得できる「研修科」に進んだことを機に、学びの楽しさを実感するようになった。

高瀬 直さん

レントゲンを読み解き
治療方針を提案。
歯科医師と二人三脚で
患者さんに寄り添う「設計士」
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Q1.高瀬さんの働き方・働く環境を教えてください。
A.歯科医師と一緒に治療方針を考案する補綴装置の専門家
日本で唯一・ドイツシルバーマイスター※の称号を持つ大畠一成氏のラボ「Dental Labor GmbH Gross」にて、主任歯科技工士として勤務しています。
歯科技工士は、銀歯や詰め物、入れ歯といった補綴装置(ほてつそうち)を、歯科医師の指示に従って製作することが一般的です。しかし私たちのラボでは歯科医師と同じ目線で、患者さんの治療計画までを一緒に考えていきます。
補綴装置は、美しい形である以上に正しい嚙み合わせが要求されます。治療後も患者さんの口の中で快適に機能し続けることが大切です。そこで口の中の型取りだけでなく、頭全体や顎関節などのレントゲンを歯科医師と共有しています。その情報をもとにディスカッションをし、補綴装置の設計に役立てています。
また、日々多くの英論文を読んで身につけた知識や臨床経験をもとに、現在は全国各地で同業者や歯科医師を対象とした講演活動も行っています。※シルバーマイスターとは…医療先進国ドイツにはマイスター制度があり、歯科技工士マイスターの社会的地位は博士に相当する。マイスターは一流の専門技術のみならず、政治、経済、教育、法律に精通する深い知識が求められ、後進の指導も担う。
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Q2.これからの歯科技工士·歯科技工士の魅力を教えてください。
A.求められるのは治療方針を積極的に提案する、
クリエイティブな技工士これまでの歯科技工士は「職人」であり、手先が器用な人が適正と思われてきました。しかし近い将来、AI技術の発展によって、製作の大部分は機械が担うことになると予想されています。これからの歯科技工士に求められる姿は「補綴装置設計士」。患者さんそれぞれの症状や悩みを、どうやったら解消できるのか。そこにどんな補綴装置の設計が求められるのか。
これまでは単に「歯科医師の指示通り製作して納品する」ことが主でしたが、これからはAI技術を駆使してデザインし、歯科医院へ提案・連携していくスタンスが主流となるでしょう。歯科技工士は今後、もっとクリエイティブな仕事になり、知識と経験を報酬に変えられる、華のある仕事になると思っています。
今は「歯科技工士がレントゲンまでよむの?」と驚かれますが、近い将来、歯科技工士が歯科医師に対して積極的に提案できる力が必要になると考えています。歯科治療により深く携わることで、「今まで食べられなかったものが食べられるようになった!」と涙を流して喜んでくれる患者さんにもたくさん出会えます。歯科治療を通して、感動や喜びを共感できる。それが歯科技工士という仕事における最高の魅力です。 -
Q3.歯科技工士をめざす高校生へメッセージをお願いします。
A.手先が器用でなくても、学校の勉強がきらいでもいい。
手先が器用でなくても、数学や英語とか、学校の勉強がきらいでもいい。患者さんの苦労や悩みに寄り添って専門的なことを学び、解決することに全力を注げる人。そして、人の役に立ち、感謝されることにやりがいを見出せる人。そんなあなたは、歯科技工士に向いています。患者さんの喜ぶ姿に幾度も立ち会い、そのたびに自分がハッピーになる。歯科技工士は本当に素晴らしい職業だと思っています。
高瀬 直さんのプロフィール

ドイツシルバーマイスターの称号を持つ大畠一成氏のラボ「Dental Labor GmbH Gross」に勤務
高校時代は美術科で芸術に没頭。医師である父から「食っていける資格を取りなさい」と指示されたことがきっかけで、「手先が器用×医療系」で歯科技工士の道に進むことに。半ば強制で進んだ進路ながらその楽しさと魅力にはまり、後に天職となる。ドイツシルバーマイスターの称号を持つ大畠一成氏のラボ「Dental Labor GmbH Gross」に勤務。全国各地で講演活動、ならびに論文執筆活動を行う。